| 天候は曇り、車中から高下岳が見えており、雲中登山ということはなさそうです。
 登山口のランドマーク、大カツラに見送られて出発〜。
 
 放牧場のススキやイネ科の植物が秋のやさしい景色を描いています。でも山はまだまだ緑色。
 
 スギの植林地をぬけ、イチイの太い幹の間を縫うように高度をあげていきます。
 
 郡界分岐の標識がありますが分枝する道は見えません。
 
 勾配がなだらかなところで一服しようとした途端、左手の沢の方から低い唸り声が。
 
 あらまあ、クマの警戒音です。
 
 彼らの住処に入らせてもらっている私たちは、慌てず急いでクマの頭上から動いてやらねばなりません。
 
 サッと荷物をまとめて先へと進みました。
 
 木の根やぬかるみで足をとられながら前山分岐までの急登を登ります。
 
 このあたりは太いブナが目立ち、木々の向こうに紫波三山が望めます。
 
 前山分岐に上がると風が吹き抜けていきました。
 
 傾斜はゆるくなり、右手前方にはモッコ岳が、和賀山塊の山らしい山容を見せています。
 
 草の生い茂る湿地を越えると風景は劇的に変化していきます。
 
 矮性のブナとダケカンバがなす美林は陽射にきらめいて爽やかな趣きですが、
 
 同時にこの地の風雪の厳しさも物語っているのです。
 
 やがて風衝草原を抜けると県境分岐、左手の潅木を漕いで沢尻岳山頂に出ました。
 
 岩手山、秋田駒ケ岳、早池峰山は雲隠れのようす。
 
 それでも盛岡の街が見え、目前の大荒沢岳、背後に構える羽後朝日岳、もちろん和賀岳、
 
 根菅岳に高下岳山頂まで奥山パノラマを堪能できました。
 
 今日の体感温度はゆうに10℃を下回っており、おいしいお弁当もそこそこに大荒沢へ向け出発。
 
 藪は手強く足元の根張りや枝が気を抜かせません。
 
 それでも壁のように立つ急登の道は、金色に輝く草のプロムナード。
 
 リンドウの青色がアクセントになっていました。
 
 山頂標識からまたしても藪を漕いで三角点にタッチ。満面の笑みでバンザ〜イの声があがります。
 
 草紅葉を楽しみながらの下りは、藪とぬかるみに気をつけながら、流れ込んできた雨雲と追いかけっこです。
 
 樹林に入ると雨粒も和らぎ、名残惜しいブナ林にまたいつの日かの再会を胸に、下山となりました。
 登山情報□ 登山口へ車を乗り入れるにはゴロ沢を2箇所渡渉します。登山口には車5〜6台駐車可能です。
 □ トイレは県道1号盛岡横手線、谷地川にかかる橋の左岸に新しい公衆トイレがあります。また貝沢集落へ左折するキタムラ商店向いにもあります。
 □ 登山口、コース中ともに水場はありません。
 上記コースタイムは休憩時間を含めての到着時間で表しています。 |